こんにちは、ドクタールウです。
今回は、インフルエンザワクチンについての「日経メディカル」からのレポートです。
ご法度にあらず!「妊婦にインフルエンザワクチン」
米国などでは接種を推奨、日本でも希望者に接種する例も
妊婦への薬剤投与には、細心の注意が必要であり、「ご法度」の薬剤も多い。しかし一方で、リスクが高いと考えられがちな薬剤であっても、実際には、胎児への影響が明らかでなく、メリットの方が大きい例もある。
日本でも妊婦へのインフルエンザワクチン接種を奨励する医療機関が出てきている。国立成育医療センターや聖路加国際病院(東京都中央区)では、妊婦の希望を聞いた上で、インフルエンザワクチンの接種を実施しているという。
風疹ワクチンの接種はご法度だが…
「トラブルになりやすいのは、本人も妊娠に気付いていない時期に、ワクチンを接種をしたケース。妊婦本人から『胎児に悪影響があるのではないか』と相談を受けた際、確たる根拠もなしに、中絶を勧めるようなことは絶対に避けるべき」と聖路加国際病院女性総合診療部長の佐藤孝道氏はアドバイスする。そうしたケースで安易に中絶を勧めてしまうと、後になって、医師が告訴されるといった事態を招きかねない。
例えば、風疹ワクチン。弱毒化生ワクチンなので、接種すると風疹にかかる可能性もある。妊婦が風疹にかかると、先天性風疹症候群の障害を持つ新生児が生まれるリスクがあるため、妊婦への接種は日米ともに原則「ご法度」となっている。しかし現実には、「風疹の生ワクチンの接種が原因で新生児に風疹症候群が起こったという事例は、これまでに1例も報告されていない」(国立成育医療センター妊娠と薬センターの渡邉央美氏)。
国立成育医療センター「妊娠と薬情報センター」のホームページ。服薬の影響を心配する妊婦の相談を主治医を通じて受け付けている。
風疹ワクチンでは、妊娠中の風疹罹患を避けるために若い女性が自ら希望してワクチンを接種する場合が多いが、医師が「少なくとも3カ月以上は避妊するように」と説明しているにもかかわらず、避妊に失敗するなどして妊娠してしまう、といったトラブルも珍しくない。そうした場合でも、中絶等の判断は安易には行わず、まずは専門家に相談すべき、というわけだ。
(小田 修司=日経メディカル)