こんにちは、ドクタールウです。
今回は、乳ガンについてです。内容はチョット専門的になりますが、一度目をとおして見て下さい。
乳癌―普及する乳房温存術、QOLも大きく向上
固形癌の中では最も治療の個別化が進んでいるといわれる乳癌。早期(ステージ1〜3A)では、手術が治療の第1選択だが、広範な切除は乳房の喪失感に直結する。最近では、手術に薬物治療、放射線治療を組み合わせることで、治療成績の向上ばかりでなく、いかに女性としての美容面やQOLを保つか、といった観点からも進歩してきた。
その代表が、1990年代から徐々に普及してきた乳房温存術だ。乳房温存術とは、腫瘍のある一部分だけを切除して乳房を温存する術式。従来は乳房全体を切除する乳房切除術が基本だったが、温存術と術後の放射線治療を組み合わせれば、乳房切除術と比べて生存率や局所制御率に差がないことが明らかとなり、国内ではここ数年でやっと主流になった
現時点での温存術の適応は、局所再発率や美容的に満足できる形を残すといった面から、目安としては腫瘍径3cm以下。だが最近では、「3cmを超えていても、手術前に化学療法を行い腫瘍が小さくできれば、温存術を行える」と京大乳腺外科教授の戸井雅和氏は話す。
一方、腫瘍が大きくてやむを得ず得ず乳房切除術になった場合にも、シリコンなどの人工物、患者自身の背や腹の組織を使って乳房を再建することが広がっている。異物への抵抗感や感染リスクの懸念などから、希望するかどうかは個人の考え方次第。聖路加国際病院(東京都中央区)ブレストセンター長の中村清吾氏は、「自院では乳房切除術を行った人の6割くらいは再建を受けている」と話す。
センチネルリンパ節生検も普及しだす
術式の進歩としてもう一つ大きな変化は、手術とセットになっていたリンパ節郭清が省略できるケースが増えていること。原発巣からリンパ流に乗った癌細胞が最初に到達する乳腺の領域リンパ節(センチネルリンパ節)を術前や術中に生検して転移の有無を確認する。そこに癌細胞がなければ、その先にもリンパ節転移はないと判断できることが分かってきたのだ。
乳癌治療の低侵襲化の流れは止まらない。乳癌は、薬物療法においても癌の特性に合った治療法が選択できるようになってきており、癌治療全体の「お手本」として先駆的な治療体系を構築中だ。