2008年03月20日

診療報酬改定について3

こんにちは、ドクタールウです。
今回も、診療報酬改定についてです。
今回は厚生労働省の責任者にたいするインタビューです。
役人はこの程度の理解しかないということが分かります。

◆厚労省保険局医療課長・原徳壽氏に聞く
「外来管理加算」はあくまで「5分」が目安
再診料はイニシャルコストを包含、外来管理加算こそ技術料

橋本佳子(m3.com編集長)
私が医療課長補佐だった1996年の改定では、再診料の病診格差を広げました。「診療所の再診の方が価値が高い」という発想からです。
  
――「診療所の再診の方が価値が高い」とはどんな意味なのでしょうか。

  同じ診療をやった場合でも、診療所の点数の方を高くしてもいいという考えです。医療全体を考えた場合、外来診療の多くは検査などを必要としません。したがって、外来診療の大半が診療所で可能であるという意味で、評価すべきだと考えました。
  特に初診では、病院ではなく診療所に行くべきです。風邪などで病院を受診すべきではありません。だから、96年の改定では、診療所の初診料を引き上げました。一方、病院については紹介患者を中心にすべきであり、初診料を特定療養費化し、紹介以外の患者からは、初診料に上乗せする形で自己負担を求めることができるようにしました。
  つまり私自身は、大きな流れとしては、再診料に病院と診療所の差があることには抵抗がありませんでした。
  もう一つ、再診料についての考え方で、「再診料は技術料」とよく言われますが、イニシャルコストも含まれていると思います。そこで「外来管理加算」の話につながります。今改定で、外来管理加算を技術料ととらえ、「丁寧な診察」という要件を入れました。
 ――外来管理加算に「丁寧な診察」の要件を入れた狙いは。
  外来診察には、基本的な診察と「丁寧な診察」があると思います。基本診察は再診料で評価します。一方、「丁寧な診察」は外来管理加算で、別途評価するという考え方です。「技術料」に相当する本当の意味での診察の評価は、外来管理加算の形で取り出すことができたことになります。
  「外来管理加算は技術料」という考えなので、病院と診療所の点数は同一です。一般と老人の点数もそろえました。一方、再診料にはイニシャルコストも入るわけですから、病院と診療所は異なります。
 ――つまり、外来管理加算の考え方が変わったと。
  はい。前述のように、診察の中から、「丁寧な診察」部分を取り出したわけです。その意義は大きいと思います。したがって、処置などを行った場合でも「丁寧な診察」を行えば、外来管理加算が算定できるという見方も成り立ちます。ただ、まずは今までの体系(外来管理加算と処置などは併算定できず)はあまり大きく崩さないという考えで改定しました。次のステップとして、処置を実施した場合などでも外来管理加算が算定できるようにすれば、本当の意味で「技術料」として独立した点数となるでしょう。
 ――従来、外来管理加算の意味が曖昧だったというわけですか。

  はい。もともとは、「内科再診料」という考え方から始まった点数です。内科では、検査や処置などが少ない一方、「丁寧な診察」を行うことから、それを評価するために設けた点数ですが、今、実態としては、「丁寧な診察」が実施されているとは言えません。
 
 ――「5分を診療時間の目安とする」という要件を問題視する声が多いのですが、通知に要件として明記するのでしょうか。

  そこは、なかなか難しいところですが、やはり「5分」ですね。なぜ「5分」にこだわっているか。一つには、財源の問題があります。改定時には、外来管理加算がどのくらい算定されるかを計算していますから、「5分」は崩せません。
 ――「5分」の根拠は何ですか。
  丁寧な診察をして、患者さんが納得する診療をしてもらいたいということです。「3時間待ちで3分診療」がよく問題視されていますだから「3分診療」ではだめなのです。
 ――レセプトなどに診察時間を記載するのでしょうか。

  外来管理加算を算定しているということは、「5分の診察」が前提なので、レセプトに書く必要はありません。しかし、どんな診察を行ったかについては、カルテに記載してください。
 
 ――医師による診察の前に、看護師さんなどが問診する場合もありますが、診察時間に含めていいのでしょうか。

  いえ、あくまで医師の診察時間です。ただ、点数は患者1人当たり52点、1時間で12人診察した場合、6000円強です。点数的に十分かどうかは議論があるところですが、「医師の時間を占有する」、その対価という考え方になります。

  もちろん、「薬のみ」の診察では算定できません。それとは分けましょうという考え方です。外来管理加算については、名称を変更する話もありましたが、今回はやめました。ただ、いずれは再診料への加算ではなく技術料として独立させて、名称を変えてもいいでしょう。
 
 (2008年2月25日にインタビュー)    


3分治療ではだめで、なぜ5分ではいいのか?3分治療をしているという根拠はどこにあるのか?
もし、3分治療だとしても、そもそもそうせざる得ない状況の原因はどこにあるのか?

posted by ドクタールウ at 22:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

診療報酬改定について

こんにちは、ドクタールウです。

診療報酬の改悪についてはいろいろ問題がありますが、
今回のテーマもその一つです。

2008. 3. 14
forwards to mobile外来管理加算「5分ルール」に大ブーイング
収入減か、労働強化か。「再診料引き下げの方がマシ」との意見も

日経メディカル オンラインが実施した緊急Web調査で、今回の診療報酬改定で外来管理加算の算定要件に盛り込まれた「5分」という診察時間の目安に対し、多くの医師が不満を持っていることが明らかとなった。その内容は、「収入の減少」から「医師の裁量権侵害」まで多岐にわたる。ここでは、アンケートの結果とともに、自由意見欄に寄せられた現場の生の声を紹介する。(井上 俊明=医療局編集委員)

問診や身体診察、療養上の説明・指導などに5分を費やし、それをカルテに記載しないと、現在、患者1人について52点算定している外来管理加算が取れなくなる――。新たに導入された「5分ルール」に対し、診療所や病院で働く多くの医師が強く反対している。

 
その第1の理由は、収入の大幅な減少を招くからだ。日経メディカル オンラインが実施した調査によれば、現在、外来管理加算を算定している患者のうち、診察に5分をかけている人の割合が「概ね8割以上」とした医師は、回答者の43.3%どまり(n=406)で、「半分くらい」が21.2%、「概ね3割未満」が22.7%を数えた。つまり、多くの医療機関では、現在のままの診療を続ける限り、4月以降、外来管理加算を算定できる患者数が大幅に減少することになるわけだ。

 こうした事情から、「1日の診察人数が100人を越えており、1人も算定できなくなる怖れがある。そうなると年収が2割減る」(青森県・内科系診療所の院長)という医療機関も出てくる。かといって「5分ルール」にのっとって診察すれば、「1日の外来患者が120〜180人を数えているので、夜10時くらいまで仕事をしなければならない」(神奈川県・内科開業医)といった、過剰な長時間労働に陥ることになる。収入をとるか、自由な時間をとるか。開業医にとって悩ましい選択だ。

日医にも向けられる批判の矛先
 
さらに今回の改正を、外来診療の「総枠規制」を狙ったもの、ととらえる医師も少なくない。山口県の小児科医院の院長は、「1人5分ということは、1時間12人が限度のはず。『それ以上診察して算定するのなら、監査に入りますよ』という流れになる」ことを危惧している。

 そもそも外来管理加算の見直しは、日本医師会が再診料引き下げに強硬に反対する中で、代わりの財源確保策として浮上した。そのため、批判の矛先は日医にも向けられている。秋田県内の内科医院に勤務する医師は、「5分ルール」を近年、類を見ない改悪とした上で、「このように医師の裁量に深く切り込まれる案をのまされながら、『再診料は死守した』と胸を張る日医幹部の先生方の見識を疑わざるを得ない。結果論だと分かってはいるが、再診料の一律引き下げの方が、はるかに分かりやすく潔い対応だったのではないか」と苦言を呈する。


細分化した点数設定を求める声も
 厚生労働省の資料には、外来管理加算を算定する場合に提供されるべき診療内容が記載されている。「問診し、患者の訴えを総括する」という項目にとどまらず、「今日伺ったお話では、『前回処方した薬を飲んで熱は下がったけれど、咳が続き、痰の切れが悪い』ということですね」などと、医師の具体的な対応までが書き込まれているのだ。例示にすぎないとは思うが、これを見た医師が、「かかりつけ医ならだれでもやっていることであり、いまさら教えていただかなくても結構である」(愛媛県の外科系医院の院長)と反発するのも無理はない。


 なお自由意見欄では、精神科診療所からの意見も散見された。外来で算定する精神療法の点数に、外来管理加算と同様、「時間」が導入されたからだ。5分を超えて診療した場合に算定することとされたほか、30分を境に点数に差が設けられた。これを受けて大阪の精神科開業医は、「通院精神療法に時間軸が導入され、経営上の危機であるとともに、診療面の悪影響が懸念される。最悪の場合、4割の減収になり、利益が7〜8割吹っ飛ぶ」と悲鳴を上げる。

 もちろん「5分ルール」に対して、「内科医師の技術料を時間で区切る案には反対しない」(滋賀県の内科開業医)という賛成の声もある。だが同時にこの医師は、「5分未満なら0点ではなく、5分未満なら半額、15分以上なら3倍にするなど、3区分にするぐらいの配慮がほしい」と注文する。「総枠規制をするのであれば、重症患者や急患で時間を取られた時の加算をもっと考えるべき」(富山県の病院勤務医)という意見も、労力に見合った評価を求めるという点で共通している。
 中には、「これで投薬だけの診療が事実上認められた」という、うがった見方をする医師もいる。症状の安定している患者に前回と同じ処方をし、カルテに処方した薬剤を書くだけなら、診察時間が当然5分未満なので、4月以降は外来管理加算が算定できないことになる。これを逆手にとって、「これからは外来管理加算さえ算定しなければ、投薬だけの診療をしてもよいのだろう」という解釈だ。もちろん、無診察投薬が認められたわけではないのだが…。しかし、アンケートでは、「今後、外来管理加算が算定できない『投薬のみ』の患者が増加してくるはず」(東京都・内科診療所の院長)との予想も寄せられている。
 中央社会保険医療協議会の土田武史会長が、今改定の成果の一つとして挙げた外来管理加算への「5分ルール」の導入。現場の医師たちの強い不満・反発の中、果たして医療現場にスムーズに浸透するのだろうか。新しい診療報酬が実施される4月1日以降も、動向を見守っていきたい。
 
posted by ドクタールウ at 11:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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