こんにちは。ドクタールウです。
今回は、母乳と新生児の人生についてです。
母乳育児によって成人期のコレステロール値が低下
提供:WebMD
1カ月の母乳育児によって一生涯の心疾患のリスクが低下する可能性
Daniel DeNoon
WebMD Medical News
Reviewed by Brunilda Nazario, MD
【5月13日】たった1カ月の母乳育児で一生涯の心疾患のリスクが低減できるかもしれない。
この驚くべき知見は、未熟児の研究で13-16年前に収集されたデータに基づいている。この元となる試験は、未熟児への最善の栄養方法を調べることが目的であった。対象児には、約4週間母乳を与えられた児もあれば、人工乳が与えられた児もあった。
「われわれの知見から、母乳育児には長期の心血管系の健康に対して大きな有効性があることが示唆される」と英国MRC小児栄養研究センター(ロンドン)のAtul Singhal, MDらは記述している。この報告は『Lancet』5月15日号に掲載されている。
研究者らは、乳児期に母乳が与えられたティーンエイジャーの被験者で認められたのと同様のコレステロール値の10%の低下によって、心疾患のリスクが25%低下すると予測できると述べる。成人が低脂肪食を続けた場合のコレステロール低下は3%-6%であるため、これは重大である。
初期の研究では、母乳育児によって血圧、肥満のリスク、2型糖尿病のリスクも低下することが明らかになっている。
未熟児で得られたこれらの知見が、満期児として生まれて成長することにも当てはまるかどうかは今のところ不明である。しかし、Singhal博士らは、得られている証拠から知見が実際に全ての子供に当てはまることが示唆されると述べている。さらに、同博士らは、ティーンエイジャーから成人期に移行するにつれて、初期の母乳育児の有益性が増すと予測している。この予測を検証するため、同博士らは対象児が成人するまで追跡を継続する予定である。
早すぎる栄養は害悪か?
栄養に富んだ人工乳の授乳による素早い乳児の成長によって成人期の心疾患および糖尿病の罹患率が上昇しうるかについては、Singhal博士の共同研究者であるAlan Lucas, MDが『Lancet』の論説で指摘している。
両博士の理論は、母乳育児では乳児に必要とする栄養だけが与えられ、必要以上のものは与えられないというものだ。栄養に富んだ人工乳は、乳児をあまりにも大きく、あまりにも早く成長させるとSinghal 博士とLucas博士は指摘している。
「(特に母乳育児が完全に確立されていない生後数週間に)母乳で育てられた乳児は、人工乳で育てられた乳児に比べ成長が遅い」と同博士らは記述している。「(母乳で育てられた乳児は)その後の心血管系疾患、(高コレステロール)、肥満、インスリン非依存性糖尿病、高血圧のリスクが低い」
この理論が正しければ、小児期の栄養に関する現在の勧告の変更が必要となるかもしれない。しかし、Singhal博士とLucas博士は、極端な低栄養にもリスクがあることを警告している。データが増えるにつれて、母乳育児の長所が増えると見られるが、変更がなされるまでにはさらなる研究が必要である。
「われわれの知見は、早期、特に生後数週間の過栄養や過成長のリスクを低減する母乳育児の推進を強く支持するものである」と同博士らは結論している。
参考文献
Singhal, A. The Lancet, May 15, 2004; vol 363: pp 1571-1578. Singhal, A. and Lucas, A. The Lancet, May 15, 2004; vol 363: pp 1642-1645.
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