2008年02月11日

子育てママに見てほしい

こんにちは、ドクタールウです。
今回は、乳幼児を子育て中のママに是非見てほしいです。
ちょっと長いですけどがんばってください。

第9の地雷 乳幼児の眼帯に弱視の危険性

病院に勤務していたとき、小児科の先生から「虐待を受けた子どもで脳挫傷があり、視力に影響がないかどうか診てほしい」という往診依頼が来た。しかし、患児は首が座るか座らないかという年齢。これでは通常の視力検査はまだできず、乳幼児に使える検査の設備はその病院にはなかった。「動くものを目で追うかどうかくらいしか判定の方法がない」と伝えたら、小児科の先生は困っていたようだ。その後、この子は転院してしまい、どうなったのか分からないのが気がかりである。

 最近は少子化のためか、「親の顔を見てくれない」と生後間もない子どもを眼科に連れてくる母親にたびたび遭遇する。しかし、生後すぐの子どもは明暗の区別くらいしかついていないもので、生後1カ月でものの形が分かるようになり、3〜6カ月でようやく視力0.1〜0.2程度となる。大人と同じ方法で視力検査がだんだんできるようになるのは3歳くらいから。この時点で、半数以上が1.0見える。そして、6歳になるころには大人と同じくらいの視力となる。

 
3歳以前に視力を検査する方法には、視運動性眼振(optokinetic nystagmus法:OKN法)、選択視法(preferential looking method:PL法)、簡便な方法としてはドットカードがある。OKN法は、縞模様を印刷したドラムを眼前で回転させる方法。縞が見えている間は視運動性眼振が起こるので、縞模様の幅から視力を推定する。PL法は縞模様がある視票とない視票を見せ、縞の方を好んで見るという行動から視力を推定する。なお、OKN法は成人の詐盲の診断に使われることもある。

 視力は6歳まで(遅くとも10歳まで)に成長を終えると考えられており、そこまでに視力が発達するには毎日ものを見ている必要がある。発達過程でものを見ることができないと、弱視になることがある。

 弱視とは子どものころに視力が発達せず、成人になって医学的に病変がないのに視力が出ない状態である。小児期の極端な遠視、近視、乱視、また、左右の視力の差、斜視などが原因となる。視覚が遮断されることでも弱視になるため、先天性白内障や角膜混濁、眼瞼下垂などのほか、眼帯も原因となり得る。
 眼科手術後や処置後に必要な場合には眼帯をつけるが、視力の発達時期に片眼帯は禁忌である。乳幼児の片方の眼を手術する場合には、両方の眼に眼帯をする。時々、子どもの「ものもらい」などに眼帯をつけさせている保護者を見かけるが、これは注意してやめてもらっている。眼帯をつけるかどうかの判断は、眼科医が行う必要がある。


3歳児検診の視力検査は適切に行われているか?

 3歳児検診では、絵視票、ランドルト環を渡して家で見えるかどうかを確認してもらい、0.5以上見えていればOKとしている自治体がほとんどのようである。検査自体、また検査の内容に眼科医がかかわっているところはほとんどない。

 しかし、3歳児検診で問題がなかった場合でも、極端な遠視や左右の視力の差が眼科で発見されることが時々ある。「検診で屈折検査なども行わなくてよいのか」と、墨田区の保健所と眼科医会に尋ねたところ、「今までこの方法でやってきたので、何ら問題があるとは思えない」と返事をもらった。
 弱視をつくらないようにしたい眼科専門医から見ると、この検診内容では限界があるのは明らかだ。せめて、結膜炎など何かの症状で眼科を受診した子どもには、保護者に視力検査の重要性を説明し、4歳になるまでに視力の問題がないことを確認するようにしている。
 就学前検診で先天性白内障が発見され、すぐに手術となったが、弱視になってしまった子どもがいた。3歳児検診の時点で「片方の眼が全く見えていないようだ」と言われても、「小学校に入学するまでに見えればいいから」と保護者はのんびり構えていたようだ。弱視の概念は理解しにくいらしく、学童期の近視の方を気にする保護者も多い。発達時期である就学前こそ、正しい視力検査が重要という認識を広める必要がある。

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posted by ドクタールウ at 20:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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