こんにちは、ドクタールウです。
診療報酬の改悪についてはいろいろ問題がありますが、
今回のテーマもその一つです。
2008. 3. 14
forwards to mobile外来管理加算「5分ルール」に大ブーイング
収入減か、労働強化か。「再診料引き下げの方がマシ」との意見も
日経メディカル オンラインが実施した緊急Web調査で、今回の診療報酬改定で外来管理加算の算定要件に盛り込まれた「5分」という診察時間の目安に対し、多くの医師が不満を持っていることが明らかとなった。その内容は、「収入の減少」から「医師の裁量権侵害」まで多岐にわたる。ここでは、アンケートの結果とともに、自由意見欄に寄せられた現場の生の声を紹介する。(井上 俊明=医療局編集委員)
その第1の理由は、収入の大幅な減少を招くからだ。日経メディカル オンラインが実施した調査によれば、現在、外来管理加算を算定している患者のうち、診察に5分をかけている人の割合が「概ね8割以上」とした医師は、回答者の43.3%どまり(n=406)で、「半分くらい」が21.2%、「概ね3割未満」が22.7%を数えた。つまり、多くの医療機関では、現在のままの診療を続ける限り、4月以降、外来管理加算を算定できる患者数が大幅に減少することになるわけだ。
日医にも向けられる批判の矛先
さらに今回の改正を、外来診療の「総枠規制」を狙ったもの、ととらえる医師も少なくない。山口県の小児科医院の院長は、「1人5分ということは、1時間12人が限度のはず。『それ以上診察して算定するのなら、監査に入りますよ』という流れになる」ことを危惧している。
細分化した点数設定を求める声も
厚生労働省の資料には、外来管理加算を算定する場合に提供されるべき診療内容が記載されている。「問診し、患者の訴えを総括する」という項目にとどまらず、「今日伺ったお話では、『前回処方した薬を飲んで熱は下がったけれど、咳が続き、痰の切れが悪い』ということですね」などと、医師の具体的な対応までが書き込まれているのだ。例示にすぎないとは思うが、これを見た医師が、「かかりつけ医ならだれでもやっていることであり、いまさら教えていただかなくても結構である」(愛媛県の外科系医院の院長)と反発するのも無理はない。
なお自由意見欄では、精神科診療所からの意見も散見された。外来で算定する精神療法の点数に、外来管理加算と同様、「時間」が導入されたからだ。5分を超えて診療した場合に算定することとされたほか、30分を境に点数に差が設けられた。これを受けて大阪の精神科開業医は、「通院精神療法に時間軸が導入され、経営上の危機であるとともに、診療面の悪影響が懸念される。最悪の場合、4割の減収になり、利益が7〜8割吹っ飛ぶ」と悲鳴を上げる。
中には、「これで投薬だけの診療が事実上認められた」という、うがった見方をする医師もいる。症状の安定している患者に前回と同じ処方をし、カルテに処方した薬剤を書くだけなら、診察時間が当然5分未満なので、4月以降は外来管理加算が算定できないことになる。これを逆手にとって、「これからは外来管理加算さえ算定しなければ、投薬だけの診療をしてもよいのだろう」という解釈だ。もちろん、無診察投薬が認められたわけではないのだが…。しかし、アンケートでは、「今後、外来管理加算が算定できない『投薬のみ』の患者が増加してくるはず」(東京都・内科診療所の院長)との予想も寄せられている。
中央社会保険医療協議会の土田武史会長が、今改定の成果の一つとして挙げた外来管理加算への「5分ルール」の導入。現場の医師たちの強い不満・反発の中、果たして医療現場にスムーズに浸透するのだろうか。新しい診療報酬が実施される4月1日以降も、動向を見守っていきたい。