こんにちは、ドクタールウです。
厚生労働省は、他にもやることはあるだろうに、なんで、
このような「特定検診」をペナルティーを課してまで強引に推進するのか?
官僚は誰に命じられているのか?大臣の桝添が積極的に推進しているのか?
このような医師からも自治体からも疑問視されている制度をこの時期に押し進める理由は何か?
また、誰だ?この制度で本当に利益をえるのは誰だ?
官僚が自ら決定したことを変えることは、たとえ周囲からどんなに批判されても、いや批判されればされるほど、絶対にない。
一体だれが法律を立案し、誰が承認したのか(もちろん最後は大臣であるわけだ)
机上の空論、メタボ健診 新年度開始、自治体から疑問百出 クローズアップ2008
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
【2008年3月26日】
クローズアップ2008:机上の空論、メタボ健診 新年度開始、自治体から疑問百出
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の患者を減らすことで、医療費削減を目指す特定健診・保健指導(メタボ健診)。新年度からのスタートを前に毎日新聞が全国806市区を対象に実施した調査には「机上の空論」などと厳しい声が多数寄せられた。現場の担当者の声から問題点を探った。【大場あい、下桐実雅子】
■生活習慣病減らし、医療費削減目指すが…
メタボ健診は「腹部に内臓脂肪がたまったメタボリックシンドロームの人は、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)などの心血管疾患を起こしやすい」という学説に基づき計画された。メタボを防ぐことで生活習慣病の患者を減らし、医療費を削減することを目指している。
対象者は妊婦などを除く40-74歳の医療保険加入者全員。医療保険の保険者に実施が義務付けられる。組合健康保険など被用者保険は職場などで、国民健康保険は地元の医療機関などで実施する。被用者保険の扶養家族(専業主婦など)は、健保組合が委託した医療機関などで受ける場合が多いとみられる。
腹囲やBMIが基準以上で、血糖値、血圧、血中脂質の数値も基準を超えた人は、保健師や管理栄養士らの指導(保健指導)のもと、食事や運動など生活習慣の改善に取り組まなければならない。
◇目標達成遠い、財政悪化拍車
自治体のメタボ健診は従来の住民健診を衣替えする。住民健診との最大の違いは、保険者へのペナルティーがあること。市町村の場合、12年度までに▽健診実施率65%▽指導対象者に対する保健指導実施率45%▽メタボ該当者・予備群の減少率10%--を達成できないと、後期高齢者医療制度への財政負担が最大10%加算される。
東京都内のある市の試算では最大2億円のペナルティーがあり得る。大都市ならさらに大きくなる。同市は「国民健康保険は高齢者や低所得者が多く、一般会計からの繰り入れや基金取り崩しで収支を保っている。ペナルティーは財政の不安定要因だ」と説明する。
健診実施率や指導実施率の目標達成も容易ではない。05年度の住民健診受診率は全国平均43・8%で、65%には程遠い。市町村国保の過半数は赤字で、ペナルティーによって保険料値上げが必要になる自治体が出る恐れがある。目標を達成できないと住民が連帯責任を負わされる形だ。
住民の健康への悪影響を懸念する声も上がる。兵庫県内の市は「ペナルティーで財政が悪化すればサービスも低下し、改善率などもさらに悪くなる。成績の悪い地域こそ支援してほしい」と指摘する。
財源の問題もある。国と都道府県が費用の3分の1ずつを負担するが、補助単価は全国一律。健診や指導の実施機関が多く人口も集積する大都市に比べ、地方はコスト高が予想される。秋田県内の市の見通しでは、国の補助が実際の費用の8分の1程度となる。担当者は「地方では健診などの各実施場所ごとに集まる人数が少なく、コストが高くなる。国はかかった実額の3分の1を負担してほしい」と訴える。
◇見落とし発生、総合対策が先
メタボ健診は、内臓脂肪型肥満が原因の生活習慣病を主なターゲットとする。腹囲や体格指数(BMI)が基準値未満だと、血糖や血圧などに異常があっても、食事や生活習慣の改善を指導する保健指導の対象にすらならず、健診の質を疑問視する声も相次いだ。
福岡県内のある市の試算では、保健指導の対象者は同市の国保加入者のわずか3%。血糖などに異常があっても、腹囲は基準以下という人も多いからだ。同市は「メタボだけに焦点を当てては、国が掲げる『生活習慣病有病者・予備群の25%削減』は達成できない」と批判する。
がん検診と住民健診を同時に実施してきた自治体にとっては、がん検診の受診率低下も懸念される。従来は両健診とも市町村が全住民を対象に実施してきた。しかし、市町村のメタボ健診は原則として国保加入者だけが対象となり、国保加入者以外はがん検診を別に受ける必要が出てくる。山形県内の市は「住民健診受診者にがん検診も受けるよう呼びかけ、やっと受診率が伸びてきたのに……。がん検診受診者が減れば、がんによる医療費増につながりかねない」と危惧(きぐ)する。
そもそも、メタボ基準には、腹囲の数値の妥当性などを巡って異論がある。基準策定に加わった日本内科学会が18日、「今後、新たな疫学研究や臨床研究を踏まえて科学的検討を行う」との見解を発表したほどだ。
健康には、労働環境など社会的な要因が深く関係している。京都府内の市担当者は「体にいい生活をと思っても、収入を得るためにできないこと、収入が少ないためにできないこともある。就労環境の改善や喫煙対策など、国を挙げて取り組むべき課題を抜きに、ペナルティー付きの制度を導入するのは矛盾を感じる」と漏らす。
◇準備遅れ、人も不足
「介護保険制度は何回も改正が繰り返された。特定健診でも同じことになるのではないか」。秋田県内の別の市は懸念する。厚生労働省の情報提供の遅れによる準備不足を不安視する声が目立つ。
厚労省健康局が具体的な健診や指導の内容を盛り込んだ「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」を公表したのは、開始が1年後に迫った昨年4月。法的側面から解説する厚労省保険局の「手引」が出されたのは7月になってから。年明け以降も通知が五月雨式に出され、細かな変更も続く。京都府内の市は「確定版で準備を進めていたら、手引などで違うことが書かれていて困った」と不満を漏らす。
公務員の増員が困難な中、保健指導を担う職員の不足も深刻だ。京都府の別の市の担当課は「国が目標に掲げる『保健指導実施率45%』を実現しようにも、今の職員数では不可能だ」と話している。
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