こんにちは、ドクタールウです。
今回も「後期高齢者医療制度」についてです。そもそも、この制度は欠陥だらけなのは、中学生でもわかります。
厚生省が制度の開始前に周知徹底しなかったのは、制度開始前の批判集中を恐れたからではないのか?とすれば、
官僚恐るべし。なんという小賢しさ。
また、この制度の根本的な問題、医療費を抑制する前に行政の無駄を見直すのが先だろう、ということをもっと周知徹底するべきでは?
Vol.17◆中医協報告
「後期高齢者診療料」見直し求める声は上がらず
中医協では国会議員や報道への批判相次ぐ、影響度調査は今秋に
橋本佳子(m3.com編集長)
今春の診療報酬改定では、「緊急課題」として、病院勤務医の負担軽減策や産科・小児科対策が打ち出されたほか、外来管理加算の見直し、後期高齢者医療制度に併せた点数の新設などが実施された。今改定は医療の現場にどんな影響を及ぼしているのか――。m3.comの独自調査のほか、厚生労働省の中央社会保険医療協議会の動向、医療現場への取材を通じて検証する。
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5月21日、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)の総会が開催され、「後期高齢者診療料」「後期高齢者終末期相談支援料」について議論されたが、継続して審議を行うものの、早急な見直しの必要性を指摘する声は挙がらなかった。
後期高齢者関連の点数について、説明不足があるとの声が多かったものの、国会での議論やメディアの報道のあり方に対する批判が相次いだ。これら2つの点数は、同日に開催された中医協・診療報酬改定結果検証部会に提出された「診療報酬改定結果検証特別調査項目(案)」に入っているが、別建てで調査・検証を行うべきという意見は現時点では出ず、拙速に調査を行うよりも、まずは制度の浸透・定着を優先すべきという意見が大勢を占めた。
「特に国会議員は、はしゃぎすぎている」と批判
総会において、一番強い論調で現状の世論などへの批判を展開したのは、専門委員を務める国立長寿医療センター総長の大島伸一氏だ。次のように述べた。
「小泉内閣時代から、約5年間、高齢者医療について議論されてきた。今、世間で議論されていることも、あらゆる形で検討してきた。その結果として、これからの医療がどうなるか分からない中で、現状で取り得る最善の形として今の制度を作った。にもかかわらず、国会議員ははしゃぎすぎており、発足した途端に、いきなり制度を全否定しているのは納得できない。国民の不安を解消するのが国会議員なのに、かえって不安をあおっている。国会で決めた制度なので、国会議員は当事者意識を持って対応してほしい。政争の具にするべきではない」
また健康保険組合専務理事の対馬忠明氏も、「後期高齢者診療料」などは、社会保障審議会の「後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」で打ち出された「後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子」などを基にしており、様々な場での議論を踏まえた上で点数化したものであることを強調した。
さらに全日本病院協会会長の西澤寛俊氏は、「後期高齢者終末期相談支援料」について言及した。これは、患者や家族などと、終末期医療における診療方針などについて十分に話し合い、その内容を文書で提供した場合に、1回200点を算定できる点数だ。「延命治療にかかわる医療費抑制が狙い」などの批判が出ている。
西澤氏は、「全日病が昨年11月にまとめた『終末期医療の指針(案)』の一部を取り上げ、あたかもこの点数のために作成されたかのように誤解されている。そうではない。患者本院の意思を尊重した終末期医療の提供するために作成したものである」と強く反論し、実効性のあるものにするため、現在、『終末期医療に関するガイドライン策定検討会』で議論していることを紹介した。
これら一連の議論に先立ち、厚労省保険局医療課長の原徳壽氏は、今改定について説明し、「後期高齢者医療制度では、従来と同じ医療を受けることができる。それに加えて、在宅医療の充実、急性増悪時の入院、退院後のサポートなどの面で従来の制度よりも優れている」と説明。「後期高齢者診療料」に関しては、「1カ月の医療費が6000円に制限される」「担当医を決めたら、他の病院は受診できない」など、様々な誤解があるとした。「後期高齢者終末期相談支援料」についても、「医療者が十分に終末期医療について説明できるよう創設したものであり、延命治療の中止や医療費の抑制が目的ではない」と強調した。
改定の影響度調査の実施は今年秋
総会の後に開催された、診療報酬改定結果検証部会では、「2008年度診療報酬改定結果検証特別調査項目(案)」について議論された。調査項目案は以下の通りだ。このうち、1、3、7、8が今年度中に実施予定の項目だ(赤字)。
1. 病院勤務医の負担軽減の実態調査
2. 明細書発行の一部義務化の実施状況
3. 外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査
4. 医療機関における医療機能の分化・連携に与えた影響調査
5. 回復期リハビリテーション病棟入院料において導入された「質の評価」の効果の実態調査
6. 歯科外来診療環境体制加算の実施状況調査
7. 後発医薬品の使用状況調査
8. 後期高齢者にふさわしい医療の実施状況調査(後期高齢者診療料と後期高齢者終末期相談支援料について)
9. ニコチン依存症管理料算定保険医療機関における禁煙成功率の実態調査
後期高齢者医療制度をめぐっては、保険料負担のあり方など財源論の問題と、診療報酬体系が混同されて議論されたり、「後期高齢者診療料」と「後期高齢者終末期相談支援料」に関する誤解が多いのも確かだ。