2008年05月18日

医師不足(2)

こんにちは、ドクタールウです。

今回は、前回の続きです。

添会議◆Vol.7
「医師を増やす、そのリスクを取るのは政治」
舛添・厚労大臣が明言、医学部定員増の方針を改めて強調
橋本佳子(m3.com編集長)

さらに専門分野別に養成目標を設定する案についても、舛添大臣は次のように否定的な見解を示した。「職業選択の自由もあり、『あなたは産婦人科に行きなさい』とは言えない。しかし、あまり悲観的に考えていない。医学教育のオリエンテーションで相当違ってくる。(モデルがあれば)『あの先生のようになりたい』などと、産科をやりたいと考える学生もいる。ただ問題は、今のような過酷な勤務状況で、楽な道を選択する可能性も否定できないこと。つまり、意欲や野心があるにもかかわらず、それをディスカレッジする(やる気をなくす)要因があまりに多いのが問題。訴訟リスク回避など、ディスカレッジする要因を一つひとつ取り除き、レンカレッジ(励ます)するかが重要」。

「医療サービス倍増計画」を目指す?

 前回の会議で、舛添大臣は、「政治の言葉で語るには、何らかの数値目標が必要」と指摘していた。例えば、医学部定員増のための予算確保には、「何人定員増を図るか」という数字が必要になる。
 しかし、このビジョン会議では、前述した通り、方向性を示すにとどまる見込みだ。「数値目標」の決定は、この会議ではなく政治の場に移った。当初から舛添大臣はこうした考えだったのか、あるいは変更したのか、それは定かではない。ただし、従来から厚生労働省は医学部定員増に消極的であり、それを覆すことは容易ではないことが推測される。
 会議の途中、舛添氏は、池田勇人内閣が1960年に打ち出した「所得倍増計画」に言及した。やや唐突感があったが、「当時、専門家からは所得倍増なんて無理などと批判されたが、それを打ち出し、実現したのは政治」という趣旨で、政治がリスクを取る例として引用した。「医療サービスを質、量ともに充実を望む声が強い」とも話した舛添氏は、池田内閣に倣って「医療サービス倍増計画」を打ち出すつもりなのだろうか。


 「医師の仕事の40%は業務分担が可能」

 そのほか、今日の議論は、医師と医療関係職種との業務分担、地域連携や総合医のあり方、医療における患者の役割など、様々なテーマに話は及んだので、この点についても触れておく。
 医療関係職種との業務分担について、矢崎氏は、「医師の仕事のうち、伝票やレセプト作成などクラーク的な仕事が10〜20%、術後の包帯の交換をはじめ、医師ではなくむしろ看護師などが実施した方がいい業務が20〜30%ある。結局、医師の仕事の40%くらいは業務分担が可能。これが実現すれば、病院勤務医は16.4万人だが、30万人くらいの数に相当することになる」と述べた。こうした業務分担のためには、看護師などの教育が重要だとした。
 地域連携や総合医の関連で発言したのは、野中医院(東京都台東区)院長の野中博氏。長年、在宅医療に取り組んできた立場から、(1)入院から在宅などに至る、切れ目のない地域連携体制の構築、(2)「治す医療」だけでなく、「支える医療」が重要――などと強調。連携については、「多職種が連携して業務を行うというのは、業務内容の権限の問題ではなく、それをいかにマネジメントするかが重要。また『総合医の育成』が指摘されるが、それは医師個人の資格の問題ではない。重要なのは『患者を総合的に診る体制』であり、病院のシステムあるいは地域の連携システムの中で、その体制を作るべきだろう」と述べた。
 NPOささえあい医療人権センターCOML理事の辻本好子氏は、患者の視点から、「後期高齢者医療制度をはじめ、説明不足、情報不足が今の混乱を招いている。以前、急性期・慢性期という病床区分が進められた際にも、患者さんは『(急性期病床から)追い出された』という認識を持った。それは病院がどんな役割を果たすべきか十分に説明がなされなかったからだ」と問題提起。その上で、患者自身が考え、自分の問題として医療を語り合うなど、患者が医療に参画する重要性を強調した。そのためにも、「ビジョンを策定する際には、それを国民・患者に対して、分かりやすく説明してもらいたい」と強く要望した。
 「安心と希望の医療確保ビジョン」骨子案

1.医師数について  
 (1)医師養成数 
 (2)女性医師の離職防止・復職支援 
 (3)医師の勤務環境の改善
2.医師の配分バランスの改善  
 (1)地域バランスについて 
 (2)診療科バランスについて 
 (3)総合的な診療能力の育成
3.医療関係職種間の業務の分担と協働・チーム医療の推進  
 (1)医師と看護師との役割分担と協働について 
 (2)医師と助産師との役割分担と協働について 
 (3)医師と薬剤師との役割分担と協働について
 (4)医師とコメディカルとの役割分担と協働について
 (5) 医師・看護師と介護職・メディカルクラークとの役割分担と協働について
4.医療機関の分担・ネットワークの推進  
 (1)地域で支える医療の推進  
 (2)在宅医療の推進 
 (3)地域医療従事の推進 
 (4)救急医療の充実と遠隔医療の推進
5.医療者と患者・家族の協働の推進
 (1)夜間・救急利用の適正化
 (2)医療者と患者・家族の協働の推進

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医師不足(1)

こんにちは、ドクタールウです。
しばらくご無沙汰して申し訳ありませんでした。

医療関係者は皆さんそうでしょうが、4月5月は忙しく(特に今年は)と、いいわけします。

さて、今回は「医師不足解消」についての、厚生労働大臣の発言等についてです。

医師が不足しているから、医学部の定員を増やすという安易かつ先見性にかけた法律

作ろうとしています。

かつて、歯科で失敗した政策を今更持ち出すとは、なんと無策なことか。

かなり長いので二回にわけようと思います。

舛添会議◆Vol.7
「医師を増やす、そのリスクを取るのは政治」
舛添・厚労大臣が明言、医学部定員増の方針を改めて強調
橋本佳子(m3.com編集長)

「医師の数は基本的に増やす方向で行く。医師の配分バランスも改善する。コメディカルとの協同・チーム医療の推進、医療機関などのネットワークの推進なども進める。これらを盛り込んで、5月末、あるいは6月初めまでに方向性を示す。そこから先の数字的なことは、最終的には福田総理と話し、財政的な裏付けも行い、政府全体としての具体的な施策として結実させたい」

 5月14日の「安心と希望の医療確保ビジョン」第8回会議の席上、舛添要一・厚生労働大臣はこう明言、「医師数増」という方針を改めて打ち出した。
 
委員の一人、独立行政法人国立病院機構理事長の矢崎義雄氏が、「医学部定員増には、将来過剰になったときどうするかなど、リスクが伴う。その覚悟が要るのではないか」などと定員増に消極的な発言をした。これに対しても、舛添大臣は「10年後にどうなっているか、分からない部分もあるが、そのリスクを取るのはまさに政治の仕事であり、高度な政治的判断だ」と言い切った。
 前回と同様に舛添大臣と矢崎氏の意見が対立
 当初、この日は提言の取りまとめに向けた議論を行う予定だったが、議論の集約には至らず、次回に持ち越された。提言は、以下の5つが柱となる(詳細は文末に掲載)。

 (1)医師数について
 (2)医師の配分バランスの改善
 (3)医療関係職種の業務の分担と協働・チーム医療の推進
 (4)医療機関の分担
 (5)医療者と患者・家族の協働の推進

 この柱から分かるように、中心課題は医師数の扱いだ。前回の第7回会議(「医学部定員増は精神安定剤にすぎず」)と同様、舛添大臣と矢崎氏の意見は平行線をたどった。
 
 矢崎氏は、「(1997年の医学部定員削減の)閣議決定を見直す時期に来ているのは確かだ」と述べたものの、医師養成にはコストがかかるため、国民のコンセンサスが得られるかと疑問視し、「今の医学教育のキャパシティーの範囲内で行うべき」との見解を述べた。その前提として、(1)自治医大方式を採用するなど、医師の養成システムを抜本的に変える、(2)診療科による偏在をなくすために、専門分野ごとに養成目標を作る――ことを挙げ、安易な医学部定員増に釘を刺した。

 「自治医大方式」とは、卒業生が一定年限(現状は9年間)、へき地医療などに従事することを義務付ける方式。また(2)の専門分野の養成目標は、行政が行うのではなく、専門医の認証機構などを作り、医療ニーズに見合ったバランスを考えて作成すべきだとした。
 これに対し、舛添大臣は、「これだけ医師は激務なのだから、医師数が突然2倍になったとしても、普通のノーマルな勤務時間にすれば、(医師数は変わらないことと)同じ。この会議では今後の方向性をいただいて、最終的には政治が決断する。それがリスクを取るということだ」と、医師数増に強い意欲を見せた。
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2008年03月27日

メタボ検診よりもやることはあるだろう

こんにちは、ドクタールウです。

厚生労働省は、他にもやることはあるだろうに、なんで、
このような「特定検診」をペナルティーを課してまで強引に推進するのか?

官僚は誰に命じられているのか?大臣の桝添が積極的に推進しているのか?

このような医師からも自治体からも疑問視されている制度をこの時期に押し進める理由は何か?

また、誰だ?この制度で本当に利益をえるのは誰だ?

官僚が自ら決定したことを変えることは、たとえ周囲からどんなに批判されても、いや批判されればされるほど、絶対にない。

一体だれが法律を立案し、誰が承認したのか(もちろん最後は大臣であるわけだ)

机上の空論、メタボ健診 新年度開始、自治体から疑問百出 クローズアップ2008 
 
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社

【2008年3月26日】
クローズアップ2008:机上の空論、メタボ健診 新年度開始、自治体から疑問百出

 
 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の患者を減らすことで、医療費削減を目指す特定健診・保健指導(メタボ健診)。新年度からのスタートを前に毎日新聞が全国806市区を対象に実施した調査には「机上の空論」などと厳しい声が多数寄せられた。現場の担当者の声から問題点を探った。【大場あい、下桐実雅子】
 ■生活習慣病減らし、医療費削減目指すが…
 メタボ健診は「腹部に内臓脂肪がたまったメタボリックシンドロームの人は、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)などの心血管疾患を起こしやすい」という学説に基づき計画された。メタボを防ぐことで生活習慣病の患者を減らし、医療費を削減することを目指している。
 対象者は妊婦などを除く40-74歳の医療保険加入者全員。医療保険の保険者に実施が義務付けられる。組合健康保険など被用者保険は職場などで、国民健康保険は地元の医療機関などで実施する。被用者保険の扶養家族(専業主婦など)は、健保組合が委託した医療機関などで受ける場合が多いとみられる。
 腹囲やBMIが基準以上で、血糖値、血圧、血中脂質の数値も基準を超えた人は、保健師や管理栄養士らの指導(保健指導)のもと、食事や運動など生活習慣の改善に取り組まなければならない。
 ◇目標達成遠い、財政悪化拍車
 自治体のメタボ健診は従来の住民健診を衣替えする。住民健診との最大の違いは、保険者へのペナルティーがあること。市町村の場合、12年度までに▽健診実施率65%▽指導対象者に対する保健指導実施率45%▽メタボ該当者・予備群の減少率10%--を達成できないと、後期高齢者医療制度への財政負担が最大10%加算される。
 東京都内のある市の試算では最大2億円のペナルティーがあり得る。大都市ならさらに大きくなる。同市は「国民健康保険は高齢者や低所得者が多く、一般会計からの繰り入れや基金取り崩しで収支を保っている。ペナルティーは財政の不安定要因だ」と説明する。
 健診実施率や指導実施率の目標達成も容易ではない。05年度の住民健診受診率は全国平均43・8%で、65%には程遠い。市町村国保の過半数は赤字で、ペナルティーによって保険料値上げが必要になる自治体が出る恐れがある。目標を達成できないと住民が連帯責任を負わされる形だ。
 住民の健康への悪影響を懸念する声も上がる。兵庫県内の市は「ペナルティーで財政が悪化すればサービスも低下し、改善率などもさらに悪くなる。成績の悪い地域こそ支援してほしい」と指摘する。
 財源の問題もある。国と都道府県が費用の3分の1ずつを負担するが、補助単価は全国一律。健診や指導の実施機関が多く人口も集積する大都市に比べ、地方はコスト高が予想される。秋田県内の市の見通しでは、国の補助が実際の費用の8分の1程度となる。担当者は「地方では健診などの各実施場所ごとに集まる人数が少なく、コストが高くなる。国はかかった実額の3分の1を負担してほしい」と訴える。
 ◇見落とし発生、総合対策が先
 メタボ健診は、内臓脂肪型肥満が原因の生活習慣病を主なターゲットとする。腹囲や体格指数(BMI)が基準値未満だと、血糖や血圧などに異常があっても、食事や生活習慣の改善を指導する保健指導の対象にすらならず、健診の質を疑問視する声も相次いだ。
 福岡県内のある市の試算では、保健指導の対象者は同市の国保加入者のわずか3%。血糖などに異常があっても、腹囲は基準以下という人も多いからだ。同市は「メタボだけに焦点を当てては、国が掲げる『生活習慣病有病者・予備群の25%削減』は達成できない」と批判する。
 がん検診と住民健診を同時に実施してきた自治体にとっては、がん検診の受診率低下も懸念される。従来は両健診とも市町村が全住民を対象に実施してきた。しかし、市町村のメタボ健診は原則として国保加入者だけが対象となり、国保加入者以外はがん検診を別に受ける必要が出てくる。山形県内の市は「住民健診受診者にがん検診も受けるよう呼びかけ、やっと受診率が伸びてきたのに……。がん検診受診者が減れば、がんによる医療費増につながりかねない」と危惧(きぐ)する。
 そもそも、メタボ基準には、腹囲の数値の妥当性などを巡って異論がある。基準策定に加わった日本内科学会が18日、「今後、新たな疫学研究や臨床研究を踏まえて科学的検討を行う」との見解を発表したほどだ。
 健康には、労働環境など社会的な要因が深く関係している。京都府内の市担当者は「体にいい生活をと思っても、収入を得るためにできないこと、収入が少ないためにできないこともある。就労環境の改善や喫煙対策など、国を挙げて取り組むべき課題を抜きに、ペナルティー付きの制度を導入するのは矛盾を感じる」と漏らす。
 ◇準備遅れ、人も不足
 「介護保険制度は何回も改正が繰り返された。特定健診でも同じことになるのではないか」。秋田県内の別の市は懸念する。厚生労働省の情報提供の遅れによる準備不足を不安視する声が目立つ。
 厚労省健康局が具体的な健診や指導の内容を盛り込んだ「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」を公表したのは、開始が1年後に迫った昨年4月。法的側面から解説する厚労省保険局の「手引」が出されたのは7月になってから。年明け以降も通知が五月雨式に出され、細かな変更も続く。京都府内の市は「確定版で準備を進めていたら、手引などで違うことが書かれていて困った」と不満を漏らす。

 公務員の増員が困難な中、保健指導を担う職員の不足も深刻だ。京都府の別の市の担当課は「国が目標に掲げる『保健指導実施率45%』を実現しようにも、今の職員数では不可能だ」と話している。
 
 
 
 
 
 

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2008年03月25日

こんなに複雑にするのは、誰のため

こんにちは、ドクタールウです。

いよいよ診療報酬改定と後期高齢者医療制度が、はじまります。

なんで、こんなに複雑な制度をいちいち導入するのか?

年金でさえ、あんなにぐだぐだなのに、これで誰が得をするのか?

後期高齢者医療制度が来月スタート 75歳以上、変わる保険 
 
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社

【2008年3月25日】
後期高齢者医療制度:新制度、来月スタート 75歳以上、変わる保険

 
 「保険料はいくらになるのか」「加入手続きは必要なのか」--。75歳以上を対象とした新しい医療制度が4月1日からスタートするのを前に、市町村の窓口に多くの問い合わせが寄せられている。月内には1人に1枚ずつ被保険者証が配られるが、加入していた保険制度や個々の年金額(収入)などにより保険料や納付方法も異なるので注意が必要だ。【有田浩子】
 ◇都道府県で異なる負担
 東京23区に住む2組の高齢者夫婦を例に、保険料の変化をみよう。2組を仮に、佐藤さん、鈴木さんとする。どちらも今は国民健康保険に加入し、収入は夫が厚生年金201万円(05年の受給者平均額)、妻は基礎年金(国民年金)のみ。
 2組は、佐藤さん夫妻がともに新保険に加入するのに対し、鈴木さん夫妻は夫のみ新保険に加入し、妻は75歳未満なので国民健康保険に残るという違いがある。07年度の国保保険料はどちらも、8万1112円だった。
 新保険の保険料は加入者全員が負担する「均等割り」と、支払い能力に応じて決まる「所得割り」の2本立てで、額や率は都道府県で異なる。たとえば、東京都の均等割り額は3万7800円だ。
 均等割りは所得によって7割、5割、2割の軽減があり、佐藤さん夫妻は2割の軽減措置を受けるが、それでも保険料は9万1968円。年約1万円の負担増になる。
 東京都以外の都道府県では計算はここまでだが、東京都だけ、追加の低所得者対策を講じており、年収が208万円以下だと所得割りでさらに、25%、50%、75%、全額の軽減措置がある。佐藤さんの夫は25%軽減で、最終的な保険料は8万4096円。07年度と比べて約3000円アップとなる。
 一方、鈴木さん夫妻は夫が均等割りの2割軽減の対象となり、25%の所得割り軽減措置も受ける。だが、国保に残る妻の保険料は3万6900円で、世帯の最終的な保険料は9万756円。07年度より約1万円高くなり、佐藤さん夫妻よりも高い。
 新制度で保険料が増えるか否かは一概には言えないが、東京都の国保加入世帯では、年収400万円弱を境に、高い層は負担減に、低い層は負担増の傾向という。
 なお、夫婦とも国保の場合は、新保険への加入手続きは必要ないが、夫などが被用者保険に加入していたケースでは別途手続きが必要な場合がある。
 ◇組合健保から移行--徴収、7月以降
 保険料の支払いは、年金から天引きされる「特別徴収」と、市区町村から送られてくる納付書で納める「普通徴収」がある。
 年金天引きは、公的年金の支給額が年18万円以上で、介護保険料との合計が年金額の半分以下の場合。ただし年間保険料が確定するのは6月。このため、国保から新保険に移行した人は4月から天引きが始まるが、半年間は「仮徴収」となる。組合健保などの被用者保険に加入していた場合は7月以降に納付書で納め始め、年金天引きは半年遅れの10月からになる。
 なお、被用者保険の被扶養者は昨秋の政府・与党の軽減策もあり、9月までの半年間は保険料ゼロ。その後半年は均等割りが9割減免、所得割りは引き続きゼロとなる。7月以降に10月からの支払額などが通知される。
 窓口負担は中低所得者は1割で、現役並みに所得がある場合は3割。現役並みの基準は変わらず、市町村民税の課税所得が145万円以上で、かつ新保険への加入者が1人の場合は収入が383万円以上、夫婦とも新保険に加入する場合は520万円以上。
 ただ、今の医療制度は70歳以上を1世帯にくくっているが、新制度は75歳以上を別の世帯と数えるため、夫婦の年齢などで世帯収入の計算が変わり、1割負担が3割負担に増えることもある。
……………………………………………………………………………
 ◇後期高齢者医療制度
 対象者は75歳以上の高齢者全員と、65-74歳で一定の障害認定を受けた人。これまで会社員の子どもなどの被扶養者で保険料を支払っていなかった200万人を含め計約1300万人が対象者となる。全国の平均保険料は毎日新聞の調べで7万7898円(東京都独自の軽減措置を除く)。厚生労働省によると、平均的な厚生年金受給者(201万円)の保険料が最も高いのは福岡県の8万5100円。低いのは長野県で6万円。
 保険料は2年ごとに改定されるが、新保険は1人当たりの医療費が下の世代の約5倍と高い75歳以上の高齢者に節約意識を持ってもらう狙いから、医療費が膨らめば保険料も高くなる仕組みになっている。高齢化の進展に伴い保険料はさらに高くなっていく可能性が大きい。
……………………………………………………………………………
 ■保険料負担の変化(東京23区の場合)
               07年度    08年度(低所得者対策前) 08年度(低所得者対策後)
 ◇佐藤さん
 夫 77歳=年金201万円 8万1112円 9万1968円       8万4096円
 妻 77歳=年金 79万円
 ◇鈴木さん
 夫 77歳=年金201万円 8万1112円 9万8628円       9万 756円

 妻 73歳=年金 79万円
 
 
 詳細はこちらから  http://blog.with2.net/link.php?579069
 

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2008年03月22日

医師の受難は続く

こんにちは、ドクタールウです。

今回は、医師不足の大きな原因の一つである、医師の刑事訴訟についてです。

弁護士・棚瀬慎治氏に聞く
「医師を必ず起訴」という新ルートが誕生
改正検察審査会法が施行間近、“医療事故調”議論にも影響
橋本佳子(m3.com編集長)
 「検察の意向にかかわらず、医療事故が刑事裁判に発展する」――。2009年5月27日までに施行が予定されている改正検察審査会法では、検察官が不起訴とした事例でも、起訴・刑事裁判に至る仕組みが導入される。厚生労働省が検討を進める“医療事故調”が設置されれば、「医学的に不当な起訴」を防止することができるとの期待が医療界にはある。しかし、「多くの医療関係者は、“医療事故調”ばかりに目が行っており、検察審査会法改正の問題の重大性に気づいていない」。こう警鐘を鳴らす、弁護士の棚瀬慎治氏に聞いた。


――先生は、医療事故の刑事事件も扱っておられますが、最近、傾向が変わってきたのでしょうか。検察は謙抑的になってきたという話もお聞きします。

 医療事故を専門に扱う弁護士はそう多くはないのですが、その大半は民事事件が主で、刑事事件を扱う弁護士は限られています。
 福島県立大野病院の産婦人科医が2006年2月に逮捕され、翌3月に起訴されましたが、それ以降、検察は医療事故の起訴に慎重になってきたと感じています。私が扱っている案件でも、最終的には不起訴となっているものばかりです。例えば、医療機関と遺族の間で示談が成立しなかった場合、遺族がすぐに刑事告訴したケースがありました。警察は告訴されると捜査せざるを得ないのですが、病院に示談を勧め、示談成立を待って、最終的には不起訴となったケースもあります。

 
――現在の検察審査会の仕組みをお教えください。

 今は、検察が「不起訴」とした場合、被害者などが検察審査会に不服を申し立てることができます。検察審査会は、国民から無作為に抽出された11人で構成し、「起訴相当」(11人中8人以上の多数)、「不起訴不当」(過半数)、「不起訴相当」(過半数)のいずれかの議決をします。
 しかし、「起訴相当」あるいは「不起訴不当」となっても、検察は検察審査会の意見には縛られず、あくまで独自に判断するのです。やや古いデータですが、2003年の場合、検察審査会で「起訴相当」「不起訴不当」とされた事件のうち、実際に検察が起訴したのは24.4%にすぎません。

 医療事故の場合ですが、検察審査会は国民で構成するため、どうしても患者側の視点に立つためか、「起訴相当」あるいは「不起訴不当」とされるケースが多いようです。私の経験では、「不起訴相当」の議決を経験したことがありません。それでも、検察は医師の意見なども踏まえ、専門的な調査を行って「不起訴」としているため、検察審査会が「起訴相当」「不起訴不当」としても、起訴に至るのはごくわずかではないでしょうか。
 
  ――新たな仕組みでは、検察の判断によらず、「起訴」が可能になるわけですか。

 2004年5月28日に、「検察審査会法を改正する法律」が公布されました。この法律は、2009年5月27日までに施行するよう定められています。
 現行と大きく異なるのは、検察審査会が第一段階と第二段階の二階建てになるという点です(本文最後の図1)。(1)検察審査会が「起訴相当」とし、検察が「不起訴」などとした場合、検察審査会の再度の審査に付され、(2)検察審査会が再度、「起訴相当」とした場合に、検察に代わって「指定弁護士」が起訴する――という形になります。

 つまり、検察の判断にかかわらず、起訴が可能になる新たな仕組みが誕生するわけです。患者遺族が捜査機関に告訴し、検察が「不起訴」としても、その後、検察審査会で再度「起訴相当」とされれば、「必ず起訴」されるのです。
 
 ――検察官に代わって起訴を行う、「指定弁護士」とは何でしょうか。

 これは現行制度にはありません。裁判所が指定するもので、検察官の代替役を果たす弁護士です。検察審査会が第二段階で「起訴相当」とした場合、起訴を行います。その後の刑事裁判でも、検察官の代わりに指定弁護士が公判の維持に当たり、尋問などを行います。
 また、第二段階の検察審査会では、弁護士は法的助言を行う役割も果たします。
 つまり、新たな仕組みでは、検察審査会への不服申し立てから起訴に至るルートで、弁護士が関与する機会が増えます。前述のように、医療事故を扱う弁護士はそう多くはありませんので、医療に精通していない弁護士がかかわる可能性も十分に考えられます。しかも、検察審査会は国民で構成するため、どうしても患者側の視点に立つ傾向にあります。
 ――新たな制度が始まれば、“医療事故調”を設立しても、「医学的に不当な起訴」の問題は、必ずしも解決しない恐れがあると。
 現在の刑事裁判をめぐる問題として、医療に精通していない警察・検察が捜査・起訴を行うことが挙げられます。現在、厚労省は“医療事故調”の創設を検討していますが、それによりこの問題は解決するかのような説明をしています。医師などが参加する医療安全調査委員会で診療関連死の死因究明などを行い、報告書をまとめますが、そのうち調査委員会が警察に通報するのは、故意または重大な過失に限るとしているからです。また「遺族が警察に告訴しても、すぐ捜査はせず、調査委員会を使う」といった説明も聞かれます。
 しかし、このように調査委員会で医療者が専門的に死因究明を行っても、検察審査会法が改正されれば、全く別のルート、つまり医療の専門家の視点を通さずに起訴されるルートが誕生するのです。

 
――そもそも、なぜこうした仕組みが導入されたのでしょうか。

 一連の司法制度改革の一環です。2009年度から裁判員制度がスタートするほか、刑事裁判の法廷で被害者・遺族らが被告人や証人に直接質問ができる制度が導入されます。これらと同様に、検察審査会法の改正は、犯罪被害者保護の視点から進められてきました。2001年6月12日に取りまとめられた司法制度改革推進審議会意見書によれば、「検察官に独占的に付与されている公訴権行使の在り方に民意を直截に反映させていく制度をより拡充すべきである」とされており、このような流れで検察審査会法の改正に至りました。
 医療者は“医療事故調”の議論ばかりに目が行っており、この問題の重大性に気づいていないように思います。そもそも検察審査会法の改正は、医療事故に限らず、すべてに適用されますので、かえって医療者が気づきにくいのかもしれません。  

 
――最後に、“医療事故調”をめぐる議論について、先生のお考えをお聞かせください。

  “医療崩壊”といわれる折、今、一番必要とされるのは、医師が安心して働くことができる環境づくりではないでしょうか。医師の「立ち去り型サボタージュ」を防ぐためにも、医師が納得できる制度という視点が第一だと思います。
 確かに、医療事故が刑事事件になるケースは少ないのが現実です。しかし、福島県立大野病院の例でも分かるように、数の問題ではなく、1件でも不当な事例があれば、それで医療は崩壊の危機に直面してしまうのです。“医療事故調”だけでなく、検察審査会法改正についての議論も早急に行う必要があります。



詳細はこちらから  http://blog.with2.net/link.php?579069

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2008年03月21日

診療報酬改定について4

こんにちは、ドクタールウです。

今回も診療報酬改定についてです。

医療費抑制や医師不足、政策転換で“崩壊”防げ シンポジウム 
 
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社

【2008年3月21日】
シンポジウム:医療費抑制や医師不足、政策転換で“崩壊”防げ--左京 /京都

 崩壊とまで言われる地域医療を、開業医の立場から考えるシンポジウム「STOP地域医療崩壊-いま開業医に何ができるか」(府保険医協会主催)が20日、左京区の京都会館であった。現場の疲弊ぶりと、医療費抑制政策と医師不足状態の転換を訴える切実な声に、医療関係者ら約320人が聴き入った。
 まず、本田宏・医療制度研究会副理事長が講演。「日本の1人当たり医療費は先進国で最低なのに、患者の自己負担は最高。医療費が高いというのは、抑制を狙う官僚が都合のいい数字だけを取り出したウソに過ぎない。提供医療レベルも低いまま」と強調した。また、日本の医師数(26万人)はOECD(経済協力開発機構)諸国の人口比平均で14万人も不足している数値を示し、「医師は偏在ではなく、絶対的に不足している」と説明。「正しい情報なしでは医療崩壊は加速するばかり」と警告した。

 討論会では、塩見芳朗・福知山医師会副会長が「府北部では、医療崩壊はストップさせることを通り越し、ギブアップ状態」と報告。福山哲郎・参院議員は「予算の配分を決める政治に対し、政策転換せざるを得ないアクションを起こして欲しい」と求めた。尾崎望・同協会理事は「勤務医も開業医も、低医療費政策で過酷な労働を強いられている。そこを変えねば医療崩壊の解決はない」と訴えた。【藤田文亮】
 
 
 
 
 

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2008年03月20日

診療報酬改定について3

こんにちは、ドクタールウです。
今回も、診療報酬改定についてです。
今回は厚生労働省の責任者にたいするインタビューです。
役人はこの程度の理解しかないということが分かります。

◆厚労省保険局医療課長・原徳壽氏に聞く
「外来管理加算」はあくまで「5分」が目安
再診料はイニシャルコストを包含、外来管理加算こそ技術料

橋本佳子(m3.com編集長)
私が医療課長補佐だった1996年の改定では、再診料の病診格差を広げました。「診療所の再診の方が価値が高い」という発想からです。
  
――「診療所の再診の方が価値が高い」とはどんな意味なのでしょうか。

  同じ診療をやった場合でも、診療所の点数の方を高くしてもいいという考えです。医療全体を考えた場合、外来診療の多くは検査などを必要としません。したがって、外来診療の大半が診療所で可能であるという意味で、評価すべきだと考えました。
  特に初診では、病院ではなく診療所に行くべきです。風邪などで病院を受診すべきではありません。だから、96年の改定では、診療所の初診料を引き上げました。一方、病院については紹介患者を中心にすべきであり、初診料を特定療養費化し、紹介以外の患者からは、初診料に上乗せする形で自己負担を求めることができるようにしました。
  つまり私自身は、大きな流れとしては、再診料に病院と診療所の差があることには抵抗がありませんでした。
  もう一つ、再診料についての考え方で、「再診料は技術料」とよく言われますが、イニシャルコストも含まれていると思います。そこで「外来管理加算」の話につながります。今改定で、外来管理加算を技術料ととらえ、「丁寧な診察」という要件を入れました。
 ――外来管理加算に「丁寧な診察」の要件を入れた狙いは。
  外来診察には、基本的な診察と「丁寧な診察」があると思います。基本診察は再診料で評価します。一方、「丁寧な診察」は外来管理加算で、別途評価するという考え方です。「技術料」に相当する本当の意味での診察の評価は、外来管理加算の形で取り出すことができたことになります。
  「外来管理加算は技術料」という考えなので、病院と診療所の点数は同一です。一般と老人の点数もそろえました。一方、再診料にはイニシャルコストも入るわけですから、病院と診療所は異なります。
 ――つまり、外来管理加算の考え方が変わったと。
  はい。前述のように、診察の中から、「丁寧な診察」部分を取り出したわけです。その意義は大きいと思います。したがって、処置などを行った場合でも「丁寧な診察」を行えば、外来管理加算が算定できるという見方も成り立ちます。ただ、まずは今までの体系(外来管理加算と処置などは併算定できず)はあまり大きく崩さないという考えで改定しました。次のステップとして、処置を実施した場合などでも外来管理加算が算定できるようにすれば、本当の意味で「技術料」として独立した点数となるでしょう。
 ――従来、外来管理加算の意味が曖昧だったというわけですか。

  はい。もともとは、「内科再診料」という考え方から始まった点数です。内科では、検査や処置などが少ない一方、「丁寧な診察」を行うことから、それを評価するために設けた点数ですが、今、実態としては、「丁寧な診察」が実施されているとは言えません。
 
 ――「5分を診療時間の目安とする」という要件を問題視する声が多いのですが、通知に要件として明記するのでしょうか。

  そこは、なかなか難しいところですが、やはり「5分」ですね。なぜ「5分」にこだわっているか。一つには、財源の問題があります。改定時には、外来管理加算がどのくらい算定されるかを計算していますから、「5分」は崩せません。
 ――「5分」の根拠は何ですか。
  丁寧な診察をして、患者さんが納得する診療をしてもらいたいということです。「3時間待ちで3分診療」がよく問題視されていますだから「3分診療」ではだめなのです。
 ――レセプトなどに診察時間を記載するのでしょうか。

  外来管理加算を算定しているということは、「5分の診察」が前提なので、レセプトに書く必要はありません。しかし、どんな診察を行ったかについては、カルテに記載してください。
 
 ――医師による診察の前に、看護師さんなどが問診する場合もありますが、診察時間に含めていいのでしょうか。

  いえ、あくまで医師の診察時間です。ただ、点数は患者1人当たり52点、1時間で12人診察した場合、6000円強です。点数的に十分かどうかは議論があるところですが、「医師の時間を占有する」、その対価という考え方になります。

  もちろん、「薬のみ」の診察では算定できません。それとは分けましょうという考え方です。外来管理加算については、名称を変更する話もありましたが、今回はやめました。ただ、いずれは再診料への加算ではなく技術料として独立させて、名称を変えてもいいでしょう。
 
 (2008年2月25日にインタビュー)    


3分治療ではだめで、なぜ5分ではいいのか?3分治療をしているという根拠はどこにあるのか?
もし、3分治療だとしても、そもそもそうせざる得ない状況の原因はどこにあるのか?

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診療報酬改定について

こんにちは、ドクタールウです。

診療報酬の改悪についてはいろいろ問題がありますが、
今回のテーマもその一つです。

2008. 3. 14
forwards to mobile外来管理加算「5分ルール」に大ブーイング
収入減か、労働強化か。「再診料引き下げの方がマシ」との意見も

日経メディカル オンラインが実施した緊急Web調査で、今回の診療報酬改定で外来管理加算の算定要件に盛り込まれた「5分」という診察時間の目安に対し、多くの医師が不満を持っていることが明らかとなった。その内容は、「収入の減少」から「医師の裁量権侵害」まで多岐にわたる。ここでは、アンケートの結果とともに、自由意見欄に寄せられた現場の生の声を紹介する。(井上 俊明=医療局編集委員)

問診や身体診察、療養上の説明・指導などに5分を費やし、それをカルテに記載しないと、現在、患者1人について52点算定している外来管理加算が取れなくなる――。新たに導入された「5分ルール」に対し、診療所や病院で働く多くの医師が強く反対している。

 
その第1の理由は、収入の大幅な減少を招くからだ。日経メディカル オンラインが実施した調査によれば、現在、外来管理加算を算定している患者のうち、診察に5分をかけている人の割合が「概ね8割以上」とした医師は、回答者の43.3%どまり(n=406)で、「半分くらい」が21.2%、「概ね3割未満」が22.7%を数えた。つまり、多くの医療機関では、現在のままの診療を続ける限り、4月以降、外来管理加算を算定できる患者数が大幅に減少することになるわけだ。

 こうした事情から、「1日の診察人数が100人を越えており、1人も算定できなくなる怖れがある。そうなると年収が2割減る」(青森県・内科系診療所の院長)という医療機関も出てくる。かといって「5分ルール」にのっとって診察すれば、「1日の外来患者が120〜180人を数えているので、夜10時くらいまで仕事をしなければならない」(神奈川県・内科開業医)といった、過剰な長時間労働に陥ることになる。収入をとるか、自由な時間をとるか。開業医にとって悩ましい選択だ。

日医にも向けられる批判の矛先
 
さらに今回の改正を、外来診療の「総枠規制」を狙ったもの、ととらえる医師も少なくない。山口県の小児科医院の院長は、「1人5分ということは、1時間12人が限度のはず。『それ以上診察して算定するのなら、監査に入りますよ』という流れになる」ことを危惧している。

 そもそも外来管理加算の見直しは、日本医師会が再診料引き下げに強硬に反対する中で、代わりの財源確保策として浮上した。そのため、批判の矛先は日医にも向けられている。秋田県内の内科医院に勤務する医師は、「5分ルール」を近年、類を見ない改悪とした上で、「このように医師の裁量に深く切り込まれる案をのまされながら、『再診料は死守した』と胸を張る日医幹部の先生方の見識を疑わざるを得ない。結果論だと分かってはいるが、再診料の一律引き下げの方が、はるかに分かりやすく潔い対応だったのではないか」と苦言を呈する。


細分化した点数設定を求める声も
 厚生労働省の資料には、外来管理加算を算定する場合に提供されるべき診療内容が記載されている。「問診し、患者の訴えを総括する」という項目にとどまらず、「今日伺ったお話では、『前回処方した薬を飲んで熱は下がったけれど、咳が続き、痰の切れが悪い』ということですね」などと、医師の具体的な対応までが書き込まれているのだ。例示にすぎないとは思うが、これを見た医師が、「かかりつけ医ならだれでもやっていることであり、いまさら教えていただかなくても結構である」(愛媛県の外科系医院の院長)と反発するのも無理はない。


 なお自由意見欄では、精神科診療所からの意見も散見された。外来で算定する精神療法の点数に、外来管理加算と同様、「時間」が導入されたからだ。5分を超えて診療した場合に算定することとされたほか、30分を境に点数に差が設けられた。これを受けて大阪の精神科開業医は、「通院精神療法に時間軸が導入され、経営上の危機であるとともに、診療面の悪影響が懸念される。最悪の場合、4割の減収になり、利益が7〜8割吹っ飛ぶ」と悲鳴を上げる。

 もちろん「5分ルール」に対して、「内科医師の技術料を時間で区切る案には反対しない」(滋賀県の内科開業医)という賛成の声もある。だが同時にこの医師は、「5分未満なら0点ではなく、5分未満なら半額、15分以上なら3倍にするなど、3区分にするぐらいの配慮がほしい」と注文する。「総枠規制をするのであれば、重症患者や急患で時間を取られた時の加算をもっと考えるべき」(富山県の病院勤務医)という意見も、労力に見合った評価を求めるという点で共通している。
 中には、「これで投薬だけの診療が事実上認められた」という、うがった見方をする医師もいる。症状の安定している患者に前回と同じ処方をし、カルテに処方した薬剤を書くだけなら、診察時間が当然5分未満なので、4月以降は外来管理加算が算定できないことになる。これを逆手にとって、「これからは外来管理加算さえ算定しなければ、投薬だけの診療をしてもよいのだろう」という解釈だ。もちろん、無診察投薬が認められたわけではないのだが…。しかし、アンケートでは、「今後、外来管理加算が算定できない『投薬のみ』の患者が増加してくるはず」(東京都・内科診療所の院長)との予想も寄せられている。
 中央社会保険医療協議会の土田武史会長が、今改定の成果の一つとして挙げた外来管理加算への「5分ルール」の導入。現場の医師たちの強い不満・反発の中、果たして医療現場にスムーズに浸透するのだろうか。新しい診療報酬が実施される4月1日以降も、動向を見守っていきたい。
 
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2008年03月18日

こういう人こそ医師会は支援するべきだ

こんにちは、ドクタールウです。

今回は「医師による訴訟」についてです。

医師会はこういう医師にこそ、支援すべきでは。医師会離れをくい止めたいたいなら、是非お願いします。


医師が国を訴える、「改定に異議あり」
今改定のリハビリ算定要件を問題視、通知の差し止めを求める
橋本佳子(m3.com編集長)

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「今回の提訴は、火を付けるのが狙い。医療関係者に、リハビリをはじめ医療問題に関心を持ってもらいたい」と語る、鶴巻温泉病院の澤田石順氏。 

 鶴巻温泉病院(神奈川県秦野市)に勤務する医師、澤田石順氏が3月18日、国を相手取り、行政訴訟を起した。この4月の診療報酬改定で、リハビリテーションの点数に算定制限が設けられたため、それを定めた通知の差し止めを求める内容だ。
 提訴の理由を澤田石氏は、「今改定前も一定日数を経た後は点数が下がるなどの問題があったものの、医学的な必要性が認められれば、リハビリの実施は可能だった。しかし、今改定により医学的必要性があってもリハビリの点数が算定できなくなった。これはリハビリを必要とする重症患者の切り捨てだ」と説明する。その上で、「前回の2006年改定でもリハビリを問題視する方が署名活動を行ったが、それでもあまり効果はなかった。改定実施の4月1日までには時間がないこと、また厚生労働省に一市民が問題提起しても影響はないことから、提訴するのが一番有効な方法だと判断した」と澤田氏はつけ加える。
 リハビリの算定日数の制限は、重症のリハビリ患者を受け入れる病院への影響が大きいが、こうした患者を多く抱える病院は少ない。提訴に踏み切ったのは、病院団体を通じた活動が期待できないことも一因だ。
 代理人を務める弁護士の井上清成氏は、「療養担当規則には、『リハビリテーションは、必要があると認められる場合に行う』と記載してある。療担規則は省令であり、通知よりも上位の法令に当たる。通知でリハビリの日数制限を行うのは、違法であり無効。憲法25条で定める生存権にも違反している」と法的な問題を指摘する。
  患者から自費徴収で可能だが、非現実的
 今改定では、リハビリテーションの点数が再編され、4種類の疾患別(心大血管、脳血管疾患等、運動器、呼吸器)、かつ重症度別(I〜IIの2ランク、脳血管疾患等はI〜IIIの3ランク)に設定された。その上で、「標準的リハビリテーション実施日数」が設けられ、実施日数」よりも前までは1日6単位(一部の患者は9単位)まで算定が可能だが、この基準を超えれば1カ月13単位までしか、算定できなくなる。

 【標準的リハビリテーション実施日数】
 心大血管疾患リハビリテーション:150日超
 脳血管疾患等リハビリテーション:180日超
 運動器リハビリテーション:150日超
 呼吸器リハビリテーション:150日超

 従来も、一定期間を超えれば、点数が下がる仕組みがあった。しかし、医療上の必要性をレセプトに記載すれば、低い点数ながらも算定が認められた。「土日曜日を除くと、1カ月に約132単位から207単位は実施している。しかし、今改定以降は、1カ月当たり、わずか13単位しか算定できない」と澤田氏。それを超える部分は、保険外併用療法(選定療養)の扱いになり、診療報酬の代わりに患者から自費を求める形であれば、リハビリを実施できる。
 今回、特に問題になるのは、リハビリニーズが高い入院の患者だ。鶴巻温泉病院の回復期リハビリ病棟の約75%は脳卒中の患者が占める。そのうち180日超までリハビリが必要な患者が数%存在するという。「当院の患者の平均年齢は76歳と高い上、重症患者が6〜7割にも上る。とても患者から自費を徴収できる状況ではない。一方で、当院としても、改定前もわずかに黒字を計上していた程度であり、今改定でリハビリの点数そのものも下がったので、病院の持ち出しで実施することもできない」と澤田石氏。
 「勝ち負けは関係ない、火を付けるのが狙い」
 もっとも、この訴訟自体、却下される可能性が高い。井上氏によると、「処分性」が一番問題になるという。今回における処分性とは、簡単に言えば、「厚労省の通知によって、不利益を被ったか」ということ。「リハビリが必要であるにもかかわらず、受けられなかった」という患者は、今改定が実施される4月以降でないと生じない。つまり、現時点では不利益を被った患者がいないため、通知の差し止め請求は認められにくいというわけだ。
 「今回の提訴は、改定前のあくまで予防的な措置。ただし、一審で差し止め請求が認められなくても、最高裁まで争う予定」(井上氏)。その間に、必要なリハビリが受けられず、実際に「不利益」を被った患者が出れば、損害賠償請求も可能になる。こうした訴訟が起きれば、今回の訴訟の役割は終わる。
 3月18日の未明に、澤田石氏は、提訴に先立ち、訴状を自身のホームページに掲載した。既に、支援する声などが多数寄せられているという。
 「リハビリに限らず、医療問題への関心が低い医師もいる。こうした医師に関心を高め、行動してもらうために提訴した。まず火を付けることが重要。勝ち負けは関係ない」と澤田石氏は語っている。  
 
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2008年03月16日

診療報酬改定について

こんにちは、ドクタールウです。
いよいよ4月の診療報酬改定も近づいてきました。
毎回のことですが、改定のたびに開かれる講習会、勉強会にはうんざりです。

しかし、今回の改定はいろいろな意味でいままでのものと違い問題山積です。

今回から、診療報酬について取り上げていきます。

保険医協会のいうように、「老人に死ねというのか」という改定です。

広島国際大・谷田氏 医療機関にとって「手間ばかりかかる」改定 踊らされず「じっと我慢の子」も方策 
 
記事:Japan Medicine
提供:じほう

【2008年3月14日】
 近畿病院団体連合会(近病連)の事務長会が7日、奈良市で開かれた。講演した広島国際大医療福祉学部医療経営学科准教授の谷田一久氏は、2008年度診療報酬改定を含めた一連の医療制度改革について、「サービス業としての実験は失敗に終わった」などと批判した。また、今後の医療経営に必要なキーワードとして、<1>基軸に戻れ<2>じっと我慢の子<3>名誉と権威の分配-の3点を挙げた。

 谷田氏は、医療制度改革の中で国が医療をサービス業ととらえていることや、診療報酬を医療サービスの対価のように考えていることを問題視。08年度診療報酬改定も、「さも価格付け、コストの補填(ほてん)のように書かれている」と述べ、「(医療機関にとっては)言いがかりのような、手間ばかりかかる改定になってしまっている」と批判した。
  具体的な改定項目の問題点としては、明細書交付の義務化や医師事務作業補助体制加算などを指摘。明細書の交付については、「本来、保険者が義務として被保険者に医療の内容を開示するべきもの」とし、義務化の在り方や効果自体を疑問視した。
  また病院勤務医の負担軽減策として導入される医療クラークについては、「本来は医師に効率的に働いてもらうためのもので、(医師だけでなく)さまざまなサポートをしていい」と述べ、医療クラークの業務を医師の補助に限定していることを「古い考え方」と批判した。
  他方、公立病院改革にもかかわっている立場から、総務省などが進めている公立病院改革には、公立病院=悪、民間病院=善といった「民間信仰」が根底にあると指摘。「公立にも民間にもいいところもあれば悪いところもある」として、経営効率や競争原理を重視した改革の方向性を疑問視した。
  その上で、医療制度改革を乗り切るための病院経営に必要なキーワードとして、前述の3点を指摘。「基軸に戻れ」として、社会基盤としての医療の原点に立ち返る必要性を強調するとともに、改定にあまり踊らされずに医療の質を高め、「じっと我慢の子」でいることも必要とした。
  また、医療機関の運営をスムーズに進めるためには、「組織として権威と名誉の分配の仕掛けがいる」と述べ、プライドにも配慮した人員配置が有機的な組織体構築に必要との考えを示した。

近病連事務長会 一般急性期病院は「1%弱の減収」

 この日の事務長会では、08年度診療報酬改定の影響について、一般の急性期病院では1%弱の減収になるところが多いことが報告された。
  大阪府私立病院協会事務長会の田口義丈会長は「(本体のプラス分が)われわれ一般の病院にはなかなか回ってこなかった。勤務医対策が中心になっているが、第一線の地域医療を担っている市中病院にはあまり報われない配分だ」と問題視した。
  大阪府私立病院協会事務長会の幹事会が緊急に行った置き換え試算では、ほとんどの一般の急性期病院は1%弱の減収になった。田口会長は、10対1入院基本料の増点など評価できる部分はあるものの、小児入院医療管理料1や入院時医学管理加算などの要件の厳しさを考えると、公的病院など大規模で総合的な診療機能を持った病院に有利な改定になっていると指摘。今回の改定は「公的病院の救済対策」的な面があるとした。
  京都私立病院協会事務長会の中谷泰幸委員長も「民より官、中小より大病院志向」の配分になっていると批判した。他府県の病院団体からも1%弱の減収となる病院が多いことが報告され、「DPCを取っている病院以外はマイナス」「民間の100-200床の病院はさらに厳しくなる」などの意見がみられた。


Copyright (C) 2008 株式会社じほう

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